塗布方法のご紹介

ディップコーティング塗布方法の代表的な3つの方法をご紹介致します。

基本型

ディップコーティングにおける成膜のパラメーターは、

1)塗布液の密度

2)塗布液の粘度

3)引上げ速度の3つです。 ※ウエットな状態

密度と粘度が同じ場合、引上げ速度により膜厚が変化します。

ディップコーティングで均一な塗工膜を得るためには、ワークを垂直姿勢で定速に引き上げることが第一歩となります。

【浸漬】

【引上げ】

膜厚データ

●基材:アクリル板(市販品)

●コート剤:某社製ハードコート剤

 ・粘度:7.5mPa・s

 ・固形成分濃度:30wt%

 ・溶媒:主溶剤PGM

●膜厚:4回塗布の各ポイントの平均値(μm)

●基材長さ:200mm

●塗布環境:室温24.5℃ 湿度49%

●液温:16.4℃

●引上げ速度:3パターン

 2mm/sec・5mm/sec・10mm/sec

●測定ポイント:20mm刻み

この膜厚データから読み取れることは

 ・2mm/secの引上げ速度では膜厚5μm台の均一なコーティングが可能であること。

 ・6μm以上の均一な膜厚を得るためには定速で引上げる手法では難しいこと。

上記の結果でご注意いただきたいことは、当該コート剤の密度と粘度によっての結果であり、コート剤や条件が変わると「速度:2mm/sec」「膜厚:5μm」といった結果も違って参ります。

条件が整えば均一な膜厚で塗布が可能であること、逆に条件が合わなければ均一な塗布膜を得ることが難しいと言えます。

そこで、

装置メーカーは、速度が速くても均一な膜が得られる昇降動作をご提案➡リニア処理

液メーカーは、濃度・溶媒変更などの調整を行います。

リニア処理

前項目の結果として、定速で引上げる場合は厚膜(引上げ速度が速い)を目標としたケースに於ける、

液の自重を起因とする下部になるほど厚膜になる現象を防ぐための手法として

スタート時点の速度(初速)>  終了時点の速度(終速)

の処理を行います。

直線的な減速のため、弊社ではリニア処理と呼んでおります。

※逆に早くするとより厚膜にすることも可能です。

参考例として下記条件の2パターンの引上げ速度での移動時間ごとの速度と距離をグラフに示します。

【条件】5mmsec定速 移動距離:200mm

    初速:5mm/sec 終速:0.5mm/sec 移動距離:200mm

【5mm/sec定速の距離•速度のグラフ】

【5mm/sec~0.5mm/secリニアの距離•速度のグラフ】

膜厚データ

先程と同じ基材とコート剤にてリニア処理を行った膜厚データは次の通りです。

3パターン全てではありませんが、初動の膜厚より終速付近の薄膜化が可能です。

このことから、終速の合わせこみを行えば厚膜を目標とした場合でも塗布膜の均一化を図れる結果が得られております。

傾斜:浸漬・引上げ処理

複雑形状(波打った形状・この字形状)の基材へ、浸漬時のエアの巻込み引上げ時の液ダマリを解消するため、最適な角度を設定し昇降中に傾斜動作を行うことでエア噛み、液ダマリを防ぐ塗布方法です。

 

・実験装置のご紹介はこちらから

・量産装置のご紹介はこちらから

これまでご紹介致しました3つの塗布方法以外に、基材の回転塗布など、基材の形状、ターゲット膜厚などの条件に応じた塗布方法をご提案致しております。

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