⽤語解説

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⽤語解説

DIP関連

●コート剤

コート剤とは、保護等の機能を付与するために表面に塗工する液剤を指します。

主なDIPコーティングで使用されるコート剤には、ハードコート剤、反射防止膜剤、防曇膜コート剤、防湿材、離型剤、撥水・撥油コート剤等があります。

●ハードコート

ハードコートとはワーク表面の傷つき・摩耗防止の目的のためにワーク表面に各種機能を付与するコーティングです。

特にプラスチック樹脂は、表面が柔らかく傷や摩耗の損傷を受けやすく、薬品・溶剤・紫外線等で白化やクラック(ひび割れ)等の問題が生じやすいです。

付与する機能の種類は、表面硬度・耐摩耗性・耐候性・耐溶剤性・耐薬品性等があります。

●反射防止膜

反射防止膜とは、レンズや光学機器の表面反射を低減するため、表面に塗布するコーティングの種類です。

光が投下するレンズ表面から光の低減や低反射が望まれる様々な応用に使用されています。

●撥水・撥油・防汚

撥水・撥油・防汚機能とは、水や油を弾いて汚れを防いだり落ちやすくしたりする機能です。

この機能は水や油を弾く特性を持つフッ素をワーク表面にコーティングすることによって得られます。

●離型剤

離型剤とは、製品を金型から外しやすくするために塗布される液剤を指します。

離型剤の種類は主に、フッ素系・オイル/シリコン系・界面活性剤系・ワックス系の4種類に分類されます。

●プライマー

プライマーとは、目的とする機能を持つコート剤をコーティングする前にワークに塗布する下地処理材を指します。

プライマーは主にワークへのコート剤の密着性を上げるためのコーティングです。他にも防錆性や膨張・収縮への順応性、強度性等の機能を持たせたプライマー液もあります。

近年では金属とプラスチック樹脂等の異なった材質の接合目的に処理されるケースも増えてきています。

●コンタミ

コンタミとは、コンタミネーション(Contamination)の略で、製品に混入した不純物のことを指し、業界内では成膜内に入り込んだ異物のことを“コンタミ”と呼びます。

●フィルタリング

フィルタリングとは液中の異物を専用のフィルターで除去することを指します。

コート剤を入れる液槽に接続した循環ユニットの配管道中にフィルターを取付、コート剤を液循環させることでフィルタリングします。

フィルターの材質(金属や樹脂)や目の粗さ(0.1μm~数十μm)は、使用するコート剤やコート結果の要求レベルで変わります。

●液溜まり

液溜まりとは、DIPコート後にワーク下端周縁部に液が残ってしまうことや、ワークの形状によってはDIPコートではコート剤が下流部へ流れず残ってしまうことを指します。

液溜まりがある状態でワークを乾燥/硬化すると不均一な膜厚となり、クラック(ひび割れ)が生じる可能性があります。

液溜まりの対策として、液切りによって解消が可能です。

●液垂れ

液垂れとはDIPコート後にワークから液体が垂れることを指します。

主な原因は、コート液に適さない速い速度でコーティングすることが挙げられます。

●液切り

ディップコーティングにおける液切りとは、液溜まりを解消する手法の1つを指します。

ワークを微かに傾けることで、液溜まりしにくい状態でワーク下端部が液面から離すことや、低速で液面から離すことで液溜まりを微小量にできます。

●干渉縞

干渉縞とは、コーティングした部分に光を当て、反射した光が虹のような明暗の縞に見えることを指します。

この干渉縞が生じている場合、コート後の表面に微小な凹凸があり、均一な膜厚となっていない可能性があります。

洗浄関連

●洗浄の目的と必要性

コーティング前のワークの洗浄/改質により、ワーク表面の汚れを取り除くことや親水化することでコート剤の濡れを向上させる効果が得られます。つまり、コーティングした製品をより高品質な仕上がりにするにはワークの洗浄は必須となります。

●洗浄の分類

洗浄はWet洗浄とDry洗浄の2つに分類され、使用するワークと汚れ具合・成分によってどちらの方式で洗浄するか、もしくは両方式で洗浄するか決まります。

ワークの汚れ具合がひどい場合→Wet洗浄

ワークの微細な汚れを取り除く場合→Dry洗浄

●Wet洗浄について

Wet洗浄では、目的に合わせて洗浄剤と洗浄方式を最適な組み合わせることが必要になります。使用される洗浄剤は主に水系洗浄剤・準水系洗浄剤・溶剤系洗浄剤の3つに分類されます。洗浄方式は主に超音波洗浄・シャワー洗浄・噴流洗浄等の多数に分類されます。

●水系洗浄剤

水が主成分で、無機・有機塩基を用いたアルカリ、中性、酸性、界面活性剤、純水等です。

特徴:引火性・爆発性なし

超音波洗浄を併せることによって溶剤よりも高い洗浄効果が得られる

コスト面で優れる

●準水系洗浄剤

水の含有率が約50%、アルコール系・グリコールエーテル系・ピロリドン系等の水に溶解する溶剤が約50%の洗浄剤です。

特徴:水溶性・油汚れの両方の汚れに対応可

中性タイプが多いため金属にも対応可

●溶剤系洗浄剤

有機溶剤が主成分で、アルコール系、炭化水素系、塩素系等です。

特徴:総じて浸透性が高く、乾燥性が良いため金属の洗浄に最適

水・準水系以上に取り扱いにおける法規制に関して留意が必要

●超音波洗浄

超音波洗浄とは、キャビテーションと呼ばれる気泡が破裂する際の衝撃波を利用する洗浄方法で、洗浄方法の中では最も一般的な方法です。

油分や乾燥固着している汚れ、パーティクル(微小なゴミ)、埃、等の除去に利用され。万能な洗浄方法です。

なお、超音波洗浄はコート剤の脱泡・分散・撹拌の目的で実施する場合もあります。

●シャワー・スプレー・ジェット洗浄

シャワー・スプレー・ジェット洗浄とは、ワークへ直接洗浄剤を噴射する洗浄方法です。ワークへのダメージ、汚れの固着具合によって噴射する圧力を選定します。

- シャワー洗浄:圧力0.1~0.3[MPa]で噴射

- スプレー洗浄:圧力0.3~10[MPa]で噴射

- ジェット洗浄:圧力10~300[MPa]で噴射

●真空洗浄

真空洗浄とは、洗浄槽の中を真空ポンプで引き、槽内及び液中の空気を取り除くことで、細かい穴、微細加工品の隅々まで洗浄剤を行き渡らせる洗浄方法です。

さらに超音波の伝達を妨げる液中溶存空気が減少することにより超音波洗浄の効果を向上させることも可能です。

また、低コストのために低真空度で真空引きした、脱気洗浄という方法もあります。

●噴流洗浄

噴流洗浄とは、ワークを洗浄槽の中に浸漬させた状態で洗浄液を噴射する洗浄方法です。

シャワー洗浄と比較すると洗浄力は劣りますが、ワークへのダメージが少ないこと、泡立ちしやすい界面活性剤を含む洗浄剤には泡立ちが生じにくいため利用されています。

●ベーパー洗浄

ベーパー洗浄とは、洗浄剤(溶剤)を加熱して生じた蒸気で満たした槽内にワークを入れ、ワーク表面で凝集して液体として滴下して戻ることを利用した洗浄方法です。

洗浄だけでなく乾燥も同時に行えることから仕上げ洗浄として利用されます。

●ブラシ洗浄

ブラシ洗浄とは、洗浄用のブラシ(ローラー)をワークに直接当てて汚れを除去する洗浄方法です。

●Dry洗浄について

Dry洗浄はWet洗浄後の精密洗浄とも言われ、Dry洗浄をすることでワーク表面への濡れ性向上や親水化をもたらすことが可能です。

Dry洗浄には主にUV/オゾン洗浄改質とプラズマ洗浄改質があります。

●UV/オゾン洗浄改質

UV/オゾン洗浄改質は、紫外線(UV)をワークに照射することでワーク表面の有機系被膜の除去や親水化よる濡れ性向上させる洗浄による表面改質方法の1つです。

UV洗浄のメカニズムについては→こちら

UV改質のメカニズムについては→こちら

●プラズマ洗浄/改質

プラズマ洗浄/改質とは、空気中で放電することにより、酸素イオンや自由電子を含むプラズマが発生し、このプラズマを照射することによってワーク表面の有機系被膜や親水化による密着力を向上させる洗浄による表面改質方法の1つです。

プラズマ洗浄のメカニズムについては→こちら

乾燥/硬化関連

●熱乾燥

熱乾燥とは、コーティング後に人工的に熱を当てることで塗工膜の乾燥時間を短縮させることです。

●乾燥方式

熱風循環方式:

乾燥炉内に熱風を循環させる方式です。

自然対流方式:

ヒーターで温められた乾燥炉内の空気が、密度の違いによって対流させる方式です。

IR(遠赤外線)方式:

約3μmの波長の電磁波を放射し、物質が保有する熱振動に応じた赤外線波長を吸収させて内部から加熱する方式です。

●プレ乾燥

プレ乾燥とは、コーティングしたワークを本乾燥(硬化)させる前に緩い条件で乾燥させることで、塗工膜を形成させつつ、有機溶剤の揮発を促進させる乾燥工程の一つです。

●UV硬化

UV硬化とは、UV硬化タイプのコート剤を使用した塗工膜に対して、紫外線(UV)を照射して塗工膜を硬化させることです。

UV硬化に使用するUVランプには主に高圧水銀ランプとメタルハライドランプの2種類に分類されます。

高圧水銀ランプ:

365[nm]を主波長として250[nm]〜450[nm]の波長域に強いスペクトルを放射する光源ランプ

主にクリアー系のコート剤に最適

メタルハライドランプ:

200[nm]〜450[nm]の波長域に連続したスペクトルを放射する光源ランプ

主に顔料入りの厚膜塗工に最適

UV LED:

365[nm]、385[nm]、405[nm]等の単波長のみを照射する光源LED

使用するコート剤が特定の波長で何らかの塗工膜に影響が生じる場合に有用です。

検査関連

洗浄観点

●接触角

ワーク上に液体(純水等)を落とした時にできる液滴のふくらみ(液の高さ)の度合いを数値化したものを指し、ぬれ性評価における指標の1つです。

接触角が低いことは、「濡れ広がり(親水化)」が良い、コーティング適していると状態と言えます。

●表面張力

液体は表面をできるだけ小さくしようとする性質(分子間力でお互いを引っ張り合う)があります。液体/気体の場合、その界面のことを表面と呼び、ここで働く力のことを表面張力という。この表面張力は、液体の重要な物性のひとつで「濡れ」に対する大きなパラメータであり、界面活性剤の影響を受けることも知られています。

●表面自由エネルギー

液体と同様に固体にも分子間力によって表面積を小さくする力が働き、これを表面自由エネルギーと呼びます。このエネルギー(値)は、各固体により違いがありフッ素樹脂などは非常に低い値です。

すなわち、濡れやすい=値が大きい、濡れにくい=値が小さいとなります。

洗浄・改質処理を行うことで水素結合力を非常に高めることが出来、結果として表面自由エネルギーが大きくなります。水素結合力は密着性が高く、表面自由エネルギーの値も大きくなることから密着性が向上した濡れた表面とすることが出来ます。

コーティング観点

●密着性能(密着強度)

密着性能(密着強度)とは、くっついて離れない力のことで、ディップコーティングの場合薄膜と基板との相互作用の強さを指します。コーティングにおいて膜とワークの密着が良く、剥がれにくいことは薄膜の評価点として非常に重要です。

密着強度の評価方法には引張り試験、引倒し試験、引掻き試験等があり、材質等によって使い分けます。

引張り試験、引倒し試験:

外力によって薄膜を剥離させたときに膜面に作用した応力で密着強度を評価

引掻き試験:

一定の荷重で引っ掻いて薄膜に損傷・剥離が生じる時の押込み荷重で密着性能を評価

●擦傷性

密着硬度の評価方法 引掻き試験で評価する項目の1つです。主にプラスチック樹脂など傷つきやすい基材の評価として用いられており、

耐擦傷性の評価テストは、鉛筆硬度試験、スチールウール試験、テーパー摩耗試験などを行っております。

鉛筆硬度試験:

専用の鉛筆硬度計と鉛筆を用いて一定の荷重をかけた状態で移動させ、基材側の外観を評価します。

スチールウール試験:

♯0000のスチールウールを用いて一定の荷重にて複数回往復させ、基材側の外観を評価します。

テーパー摩耗試験:

摩耗輪により規定の荷重と回転数にて摩耗を受けた基材側の外観を評価します。

●ヘイズ値

ヘイズ値(Haze)とは曇り値と呼ばれ、ガラスやプラスチックの曇り具合を表します。

このヘイズ値は拡散透過光(平行成分をのぞいた拡散光の透過光)の全光線透過光(平行成分と拡散成分すべてを含めた光線)に対する割合から求められ、表面の特性(粗さ等)に依存します。

ヘイズ値は、メイズメーターで測定できますが、以下の数式で算出することもできます。

ヘイズ[%]=拡散透過率/全光線透過率×100

完全な透明体はヘイズ値0%、曇り具合が増えるにしたがってヘイズ値は高くなります。

●耐候性

耐候性とはプラスチック樹脂等の劣化しやすい基材が温度・湿度・紫外線の変化によって変形、変色、クラックなどの劣化等の変質を起こしにくい性質のことを指します。

主な評価方法として、温度(マイナス域の低温から高温域まで)、高湿度、紫外線(太陽光に近い)のサイクル試験を行い、時間経過毎の外観変化、密着強度で評価します。

●ベイヤー値

ベイヤー値とは眼鏡・サングラスレンズ摩耗試験の一つの評価指標として、近年(特に米国・EUなどで)よく使用されている評価項目です。

この数値は、表面の傷から生じる散光がどれだけ抑えられているかを意味しており、値が大きいほど傷による散光が抑えられていると評価されます。

処理環境関連

●FFU

FFUとはファンフィルタユニットの略称で、ファン付きの高性能フィルタ(HEPA)付きのユニットです。

装置の天井部に配置し、ファンで吸い込んだ空気をフィルタに通して清浄化し、クリーンエアとして装置内へ送り出すことでクリーンな環境を作り出します。

●イオナイザー

イオナイザーとは静電気をイオンで中和し、除電や除塵を行う装置です。

塗工工程で基材が静電気によって帯電するとコンタミ付着により塗工膜の外観不良の原因となります。そのため、Wet洗浄後からDipコート槽までの間の除電処理をすることで原因となる要素を取り除きます。

●局所排気

局所排気とは工場や実験室等で発生する有機溶剤やガスといった人体に有害な物質を作業者が吸い込まないようにするために有害な物質が発生するエリアに絞って屋外に排気することです。

●振動対策

ディップコーティングにおいて塗工中に振動を受けることは塗工膜に大きな影響を与えるため、極力振動させないでコーティングをすることが一般的です。

しかし、コーティング装置を設置する場所によっては周囲に振動を発生させてしまう装置がある場合があります。その場合、コーティング装置側に何らかの振動対策が必要となります。

●防爆

防爆とは爆発性ガスが漏れる(or入り込む)ことを防ぎ、点火源に爆発性ガスに触れないように対策をした状態を指します。

コーティングに使用するコート剤に有機溶剤が含まれている場合、消防法では防爆対策(仕様)を行うように規定されております。

●ガス検知器

ガス検知器とは、ガスを検知するための装置です。

有機溶剤はそれぞれ固有の濃度を超えると可燃・爆発の危険性があります。有機溶剤を使用する場合、その濃度を超えないよう監視するためにガス検知器を使用します。

●自動消火器設備

基本的に量産型ディップコーティング装置には安全(防爆)対策を施しますが、万が一の場合を想定し、所定のセンサー(炎・温度)で火災を感知し消火剤を噴霧し消し止める機能を備えるために自動消火器を使用します。

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